顔が赤くなってしまうのは、自律神経の交感神経が優位になってしまっているからですが、そのいたずらは、脳が過去の失敗の記憶を思い出すことによって、恐怖や興奮を呼び起こし、自律神経にまで影響を与えるからです。
今回は、脳が自律神経にまで影響を与えるその前に、赤面症の原因を抑える考え方と練習です。
恥ずかしさと楽しいことは隣り合わせ
このあいだ、こんな事がありました。
仕事で研修を受けるために、普段行かない支社の事務所へ行きました。
ひと通り研修を終えて、居心地が悪いのでサッサと帰ろうと思い、ミーティングルームから出て、支社の社員たちのデスクの前で
「じゃぁ、失礼します!」と言って一礼して部屋のドアを開けました。
すると、デスクの社員男女入り乱れてドッカーンと大爆笑が!!!???
私が、慌てて早く帰ろうとして開けたのは
更衣室のドアでした。
「そこ、どこでもドアだったんですか?」
と、調子に乗った若い社員が私に向かって言い放ちました。
私:「あはは、ここは更衣室ですか、あはは」(汗)
一瞬の出来事だったのですが、
この一瞬の間に私の頭の中にいろいろな感情が浮かびました。
- うゎー、超恥ずかし〜
- 笑うなバカヤロー(怒)
- それ程親しくもないのに失礼な奴らだなー(怒)
- おい、こりゃ馬鹿ウケだな!
- 後で話すネタができたな。
赤面症を治すプラス志向
私は、その「帰ろうとして更衣室のドアを開けた事件」の数秒の間の心の流れはこうです。
更衣室のドアだと全く気付かずに開けてそこから帰ろうとした。
↓
事務所の人たち:大爆笑
↓
私:何が起こった? あ、オレか?
この時、恥ずかしいとは思ったのですが、
この、ドカーンと大爆笑した社員達を見て、なんだかデジャブというか、遠い遠い小学生の頃に味わった感覚を思い出したのです。
恥ずかしい思い出ではなくて、良い思い出として。
そういえば、小学生の頃、クラスでよくこうやって爆笑とってたなぁ。(笑われていたのではありませんよ)
笑いは人を幸せにする
私は、赤面症で悩むずっと前、小学生の頃は、クラスでは「面白い奴」として通っていました。
小学校卒業の時、クラスメイトに書いてもらったサイン帳には
「〇〇君は面白くて…いつも笑わせてもらいました。」みたいなことばかり書かれています。
その頃の感覚が一瞬、蘇ったのです。
結果、今回の「帰ろうとして更衣室のドアを開けた事件」は、
私が、
「どや!笑かしたったで!」
という形で、私の大脳辺縁系の海馬に一旦記憶され、やがて、成功体験として側頭葉に改めて記憶され直す事となりました。(と、私は勝手に決めつけています。)
これは、幸運にも、私が最近、脳科学について、いろいろと調べていたというタイミングだったので、そんな思考ができたのかもしれません。
このプラス思考が赤面症を気にしなくなるきっかけになると私は思うのです。
どんな体験も成功体験として記憶させる癖をつけよう
なんと、ヒトの脳は、失敗の体験を記憶するように出来ているのだそうです。
だからこそ、人類が生き延びてきたということです。
従って、何かが起きた時、恐怖を感じるのは、人類が生き残るための仕組みなのです。
しかし、この仕組みが行き過ぎると現代社会では不都合が出てきます。
赤面症、赤面恐怖症もそのひとつです。
しかし、人間の脳は、他の動物と違い、
前頭前野という部分が発達しているのです。
この前頭前野を、古い脳(大脳辺縁系)よりも優位の状態にすると記憶の意味づけを変える事が出来ます。
この前頭前野で、思考し直すことで、今起きた失敗の記憶になりそうな出来事を、肯定的に言い変えながら記憶するように心掛けましょう。
これを繰り返せば、未来の自分の為になります。だって肯定的に言い換えて記憶していれば、顔が赤くなる場面で、それが失敗の記憶として浮かばなくなってくるからです。
同じように顔が赤くなったら、何度でも何百回でも繰り返しましょう。
例えば、
- 自分の正直さを今日もアピールしたぞ!
- あの人、自分がモテると思っちゃったかな、自分は良い事をしたな!
- ドーパミンとノルアドレナリンが出たその後は、セロトニンが分泌されるから、直ぐリラックスできるな。
とか、自分を肯定する言葉と情動を唱えて深く記憶します。
古い嫌な思い出も思い出す度に書き換えよう!
今から、未来に起きる出来事で感じる良くない気分は、古い失敗の記憶から似たものを脳から拾い出して感じる仕組みになっています。
赤面症での過去の失敗の記憶も、あなたがこれから迎える、新しい赤面の場面での恐怖の下地となってしまっています。
赤面の場面に限らず、ネガティブ思考の人は、ふとした時に過去の失敗を思い出すものです。
そんな時は、どんよりとしないで、リラックスして前頭前野を働かせ、プラス志向のセリフに言い換えて、良い思い出として記憶し直しましょう。
悪い思い出が頭を巡る度に何百回でも続けましょう。
少しずつゆっくりとですが、効いてきます。
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