やらなければならない作業があっても、気がつくと全く別のことが頭を巡っていることってありますよね。
それが、雑念というやつですが、頭の中が雑念でいっぱいになり、まったく作業が捗らないのでは困りものです。
今回は、雑念というものを掘り下げると同時に、どうやったら雑念を払うことができるかを考えてみたいと思います。
雑念や妄想を止める有名な方法は、『瞑想』
雑念や妄想を止める方法として、よく知られているのが『瞑想』です。
瞑想というと、一般的なイメージは、座禅のように精神を集中し、何も考えずに頭を空っぽにする、というようなイメージを持たれるかもしれません。
それは、間違ってはいません。
最近では、『マインドフルネス瞑想』と呼ばれて、禅のエッセンスを用いた瞑想法も、アップルやGoogleを始めとする大企業の社員教育などに取り入れられています。
瞑想で、湧き上がった雑念を受け流していく練習をする
マインドフルネス瞑想の方法は、いくつかあります。
一般的なマインドフルネス瞑想の方法
- 楽な姿勢で、目を閉じる。または半眼になる。
- 自分の呼吸を観察する。または、お腹の膨らみ方を観察する。
ただこれだけです。
そして、ここが大事なところです。
生活の中で行う『ヴィパッサナー瞑想法』
瞑想は、それをするために、瞑想の時間を作らなければなりませんが、日常生活に戻って、仕事や勉強する際に、また雑念癖が戻ってきては意味がありませんよね。
仕事や、勉強中の雑念を払うひとつの方法として、『ヴィパッサナー瞑想』があります。
ヴィパッサナー瞑想にも、座ってやるもの、歩きながらやるものがあります。
日常生活のなかでやるヴィパッサナー瞑想は、『歩く瞑想』の流れを組む方法です。
やり方は、自分の行動、意識、志向に、ラベルを貼っていく(ラベリング)という方法です。
日常生活的ヴィパッサナー瞑想の方法
これは、歩いている時は、
「右足、左足、」
「右、左、右、左」
「歩いた」
などと、頭の中でラベリングをします。
座っている時は、呼吸に対して、
「吸った、吸った、吐いた、吐いた」
「膨らんだ、萎んだ」
などと、主となる行為を決めます。
これを、やっている最中にも、主になっている行為(呼吸へのラベリングなど)を超える強い現象が起きると、頭の中はそちらに向かうでしょう。
人の話し声が聞こえたり、昨日、人と口論したことが頭に浮かんできたり…。
ここが、重要です。
その時、最も強く感じたものにラベリングをします。
上の例で言えば、ラベリングの例は
「聞いた」「思い出した」「思考した」「不快感」などです。
ラベリングして、ここで雑念の連鎖を止めるのです。
すぐに、主たる行為に戻っていくのです。
呼吸への意識、歩くと言う意識や、その時やっている、仕事内容への意識へ戻すのです。
これなら、会社で仕事をしている時にでもできます。
ラベリングは前頭前野を有利にする行為
ラベリングという行為は、脳の情動中枢で発生する情動を、新しい脳である大脳新皮質の前頭前野の活動で抑えるという行為です。
前頭前野が優位になると、副交感神経が働いて、落ち着きが取り戻せるということです。
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ネガティブな妄想が生まれる前に雑念を払う
このヴィパッサナー瞑想法は『気づきの瞑想』とも呼ばれています。
自分の頭が何を感じ、何を考えたかに、いち早く気づくことが大事です。
そう考えると、雑念は必ず現れるものだと言い換えることができますよね。
一つ目の雑念までは受け入れてそれに気づいてラベリングすることで、「今はそれじゃない」を認識するということだと思います。
頭の中に雑念が現れて、その雑念を元に、連鎖的に別の思考が広がっていくと、それはあっという間に妄想の世界に広がっていきます。
気づくと本来の仕事の手が止まっている。
あなたもそんな状態、あるでしょ。私もそうです。
ネガティブな妄想は仮想現実世界だと気づくこと
日本人は、不安遺伝子を多く持っているそうです。安心感を与えてくれるセロトニンの再活用がしにくいという特徴があるのだそうです。(脳科学者の中野信子さんのラジオコーナーで拝聴しました。)
不安を感じやすい人の雑念はやはり、ネガティブなものになってしまいがちです。
雑念や妄想も、良いものと悪いものがあります。
良い雑念は、ヒラメキに繋がりますし、良い妄想は人生の道しるべになってくれるでしょう。
しかし、ネガティブな人は、雑念が連鎖すると、悪い妄想をしてしまいます。
気になっている人のちょっとした仕草が記憶に残り、ふとした時になぜだか分かりませんが、突然脳裏に浮かび上がってくる。
「あの仕草は、きっと私のことを苦手だという気持ちが知らずに出てしまったのかな…。」
なんて、ことを考えてしまうのです。そこから、妄想が妄想を産んで、どんどん現実から離れていくのです。
この次に、その人に会った時、妄想から生まれた非現実のやりとりからフィードバックされた感情で接してしまうものだから、もう目も当てられない。
その人の仕草は、あなたにではなく、ただ近くに嫌いな虫を見つけた時の動きだっただけかもしれないのに。
雑念が多いと、そんなネガティブな妄想が生まれやすいのです。
もので溢れた部屋では、目に飛び込んで来るものが多すぎて、勉強に身が入らずに図書館へ行って勉強する人もいるでしょう。
頭の中も同じです。
雑念をなんとか、一つ目で払って、頭の中を整理整頓しておきましょう。
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雑念の種類を把握する
雑念って不思議です。ほんとに突然浮かび上がってきます。
全然関係ないような場面で、ふわっと邪魔をするように出てきます。(これに上手くラベリングして払うことが大切ですが)
しかし、最近、私が日常生活的ヴィパッサナー瞑想をやっていて気づいたことは、
ということでした。
やはり、どこか、その時のマインドの状態と、浮かび上がって来る雑念が持つ情動が共鳴している部分があるのではないかと感じました。
雑念が連鎖すると、もうかなり話題が飛躍していきますが、ラベリングしようとして、「なんの雑念から、ここまできたのかな?」と思い返すと、米粒のような小さな一点から雑念が繋がっていくのが分かります。
そこで、私は考えました。
ラベリングのための雑念の種類分けをしてみた
普段の生活の中で、浮かび上がってくる雑念の種類を書き出してみました。
これは、個人の性格で変わって来ると思いますが、」これは私の場合です。
数分〜数時間前の誰かとの会話ややりとりのフラッシュバック
ほんの数分から数時間前に誰かと会話したり、コミュニケーションした出来事が、雑念としてフラッシュバックしてきます。
ラベリングとしては、「思い出した」でしょうか。
細かく解説すると、脳の短期記憶を司っている『海馬』から、数分、数十分前の出来事をハッキリと記憶するために反芻させているのではないかと思います。
「あの対応で、よかったかな?」「とか、あの言い方は失敗だったな」とか、思い返させられる状態です。」
あまり普段、お話しできない異性と会話した時など、そのやり取りが何度もフラッシュバックして来ます。
自分が、それを噛みしめたいのか、深く記憶しておきたいのか、それとも、もっといい言い回しの答え方があったんじゃないのか?
などと、雑念でいっぱいになってしまいます。
人は弱いものです。特に異性に対しては。
常々思っていることがフワーッと浮かび上がる
常習犯の雑念です。
自分が、いつもいつも不満に感じていたり、不安に感じていたり、心に引っかかっている事象や考えが、定期的に浮かび上がってきます。
定期的にと言っても、おそらく、気分が似ている時です。
目の前の不安と雑念の中の不安が似ていて浮かび上がって来るのだと思います。
目に入ったものからの雑念は膨大
人間の情報取得方法の最たるものは視覚情報です。
目から入った情報は、脳の視覚野を経由して、脳内の各部分に伝達されます。
それは、情動中枢にも戻っていき、いろんな感情を浮かび上がらせます。
目から入ってきた情報を制御するのは難しいことです。
あっという間に雑念が現れ妄想の世界に引きずられていきます。
犬が目に入れば、自分の家の犬のことを考えたり、怖い人を見たら、中学時代の先生が思い浮かんできたり…。。
ここも「見た」「考えた」「思い出した」くらいのラベリングで終わらせたいところです。
未来会話雑念・妄想会話雑念
脳は、仮想世界も現実世界も、リアリティーがあれば同じように受け取るのだと、認知機能学者の苫米地英人さんの本で読みました。
打ち合わせや、場合によっては初めてのデートなど、これから本当に予定されている場面に対しての不安が大きくて、相手と会話している場面が、何度も頭の中に浮かび揚げってきて、一人で心拍数が上がってしまう。
まったく、その相手とお話しする予定もないのだけれど、エレベーターを二人きりになった時の状態などを、気がつくと妄想してしまい、これまたドキドキしてしまう。
というような「リハーサル的妄想」をしてしまう。
これは、まさに仮想現実の世界なのですが、これを現実世界に持っていって実際に行うのがいいのか、「これは嘘の世界だ」と、捨ててしまって本番に向かうのがいいのか、私には分かりません。
ヴィパッサナー瞑想的な考えでいくなら、このような空想はせずに、ジャストナウ、たった今だけを感じて人と接するほうが、動揺がないのかなとも思えます。
正直、私には分かりません。
潜在的な不安、欲求、怒りの現れ
不安、欲求、怒りなどの情動は、雑念を超えるレベルで、私たちの本業?を邪魔するかのごとく、頭の中に現れて邪魔をします。
というか、自分がそう感じたいのです。
怖いよー!〜がしたい!やめたい!嫌いだ!いやだ!
今、私が知っているこれらの雑念を払う方法は、ラベリングするくらいです。
楽しい時って嫌な雑念が浮かんでこないと思いませか?
瞑想法がああだこうだと言ってきましたが、雑念が湧くのは、心のどこかにネガティブな、満たされないものがあるからだと思います。
すごく楽しい時って、雑念が現れないですよね。
映画の世界に没頭している時やゲームに集中している時など。(良い仮想世界)
あまり好きではない映画や、つまらないゲームをやっている時などは雑念が湧くかもしれません。(良くない仮想世界)
楽しいことを見つけて夢中になることも雑念を払う一つの方法です。
押し迫った状態では雑念が湧かない
私の体験では、押し迫った状態では、雑念が浮かぶ暇さえありません。
昔、情報誌のレイアウトの仕事をしていたことがあったのですが、自分の任されたページ数をその日のうちに終わらせるのは、私の手際が悪いこともあって至難の技でした。
押し迫った状態では、自分の体感より時間の進むのがものすごく早く感じてきます。
集中しすぎて、気がつくと外は真っ暗、終電の時間が迫っている。
雑念が浮かぶ暇さえありませんでした。
でもこれでは、心と体を壊してしまうので意味がありませんよね。
しかし、これは、一種の瞑想状態とも言えます。
ゾーンに入った状態です。
大好きなことをしている時が、これに当てはまるでしょう。
好きなことを見つけよう!
そして、たどり着いた結果は、
好きなことをする時間を見つけて満喫しよう。
ということです。
好きなことをする時間は、幸福感を増大させ、幸福ホルモンであるセロトニンやドーパミンの分泌を促します。
雑念も、楽しい時間に出てくれば、それは、ひらめきと言い換えられ、妄想は叶えるための壮大な夢ということになります。
楽しくなれない時、仕事の邪魔にしかならない雑念が湧いた時はは、ただただ、ラベリングをして払う。
それでいいんじゃないでしょうか。